旅の足跡
 彦九郎は、27歳より47歳で自刃するまで、21年間にわたる彪大な日記を残しています。日記に記された旅先は、蝦夷地(北海道)・四国を除くほぼ全国に及んでいます。日記は紀行文を中心に、その土地の里談・自然災害・うちこわし・物価騰貴・飢饉などの社会状況、および外国船来航・蝦夷クナシリの反乱・棄捐令・寛政異学の禁などの政治状流の風聞や、土地柄による忠義・孝行・節婦などの伝聞、さらには多くの知人との交流の種々が記されています。中でも、公家・藩士・儒学者・学者のほか、土地のあらゆる階層の人々との交流関係をもっています。
 彦九郎の旅は情報のネットワークを作り出したことに大きな意義があり、知識人と名もない民衆との情報の伝達媒介者として、知識情報を全国的に拡散・普及させる役割を果たしました。
 現在、私たちは彦九郎の残した日記から、18世紀後半(江戸時代中ごろ)の民俗や社会意識の動向などを知ることができます。
01置手紙
置手紙
02北行日記
北行日記

03彦九郎旅道具
彦九郎旅道具 矢嶋端夫氏蔵
04_2旅の足跡map
04_1旅の足跡map