太田市・高山彦九郎記念館


 当館は、思想家としての高山彦九郎に対する再評価を含めて、彦九郎の旅の追体験や江戸時代中頃の人物交流の実態などを究明するため、平成8年5月3日に生誕地に隣接して開館した人物記念館である。
 高山彦九郎は、戦前までは国定教科書の中で林子平・蒲生君平とともに「寛政の三奇人」として広く知られ、日本近代国家成立と軌を一にし、天皇制国家発揚の人物と理解されていた。そして、その行動の内実はよく知られることなく今日に至っている。また、「奇人」という意味の理解に誤解を受けやすい。「奇」とは評価・尊敬すべき人物に対しての意味であり、道を冬くした人物と見るべきである。江戸時代のすぐれた人物には「畸人」という呼称が与えられている。江戸中頃の政治思想での常識を打破った人物であり、幕末の志士に強い影響を与え、高杉晋作・久坂玄瑞などの精神的支柱ともなっている。おそらく高山彦九郎の政治を超え国を想うというナショナルな意識と行動力に影響を受けていると思われる。
 彦九郎は、生涯にわたり歩き続けた旅の中で多くの旅日記を残している。日記には江戸中頃の幕藩体制崩壊を告げる社会・政治状況とともに各地で見聞したことを余すところなく記録し、興味ある事柄を今に伝えている。
 展示には、彦九郎の旅と足跡をテーマとし、旅道具・書簡・日記などのほか、映像などを利用して解りやすく紹介し、彦九郎の時代をクローズアップしている。また、中庭では京風の庭園を見ながら抹茶を喫す事(研究会主催・実費)ができるほか、館内では「水琴窟」を楽しむことかできる。
 館では彦九郎の残した日記とともに、「日記をよむ・あるく・みる」の歴史講座のほか平成9年度には企画展「高山彦九郎と幕末の志士たち」を 実施し、10年度は、企画展「寛政の三奇人」の系譜を開催(平成11年3月2日〜3月31日)。このほか、各種の講演会をはじめ、高山彦九郎研究会主催の史跡めぐりや「研究会会報」の発行により高山彦九郎の新知見を情報発信している。

○開館時間 午前9時30分〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
○休館日 月曜日(月曜が祝日の場合はその翌日)、年末年始(12月27日〜1月4日)
○観覧料 無 料
○所在地 〒373-0842 群馬県太田市細谷町1324−7
○電 話 0276−32−5632
〇FAX 0276−32−5634
○交通案内
  電車 東武伊勢崎線細谷駅下車徒歩10分
  バス シティーライナーおおた そよかぜ(太田−沢野線)
     ・高山彦九郎記念館前・食糧事務所前 下車